風流人日記

医王整体院 院長のblog

見方を変える ーー4月という節目に

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 4月は様々なことが動き出す変化の月ですが、ここ数年私にとって4月は鬼門の月になってしまいました。まだこのブログには書いていませんでしたが、2年前の3月31日に14年連れ添った愛犬との別れがありました。それまで4月は桜も咲いて心が弾む季節だったのが、一転憂鬱な時節になってしまったのです。

 お正月は新しい年の初めですが、実質的には4月が新学期や新年度が始まる変化の時期です。この時期は誰もが希望とともに不安で心が不安定なことが多いのですが、そんな時に桜という木は華やかに美しい花を咲かせ、人々の心をしばし酔わせてくれます。でもその酔い心地は人によってそれぞれ違うものでしょう。

 私自身もかつては桜が咲くとカメラを抱えて西へ東へと夢中で追いかけ、ファインダー越しに鮮やかな桜を見つめてはうっとり心地よく酔わせてもらいました。ところが、愛するものとの離別などがあると花見をする気にもなりませんし、花を見ても悲しさが込み上げるばかりです。

 ことほど左様に、人はいくら美しいものを目の前にしても、別のことに気持ちが行っていたり心が曇っていたりすると、それが眼にも入らないこともあります。

 桜は必ずしも美しいとは限らないのです。その時の心境によって、悲しみを覚えたり切なさを感じたりすることもあります。でもいつまでも悲しみを言い訳にしていても始まりません。この4月という変化の時期には考え方も変えようと決心しました。

 ひとつの物事にはいい面があれば悪い面もあります。どちらかが100%ということはまずありません。しかし、人はその時々の気分でそれを一方向からしか見ることができない場合もあります。   

 上の太極図というものをご存知でしょうか。これは古代中国の宇宙観で、万物は陰と陽の二つの気から成り立つという考えを図式化したものです。陰と陽を表す黒い部分と白い部分が渦巻くように描かれています。この陰と陽が絡み合ってエネルギーが生まれ、あらゆるものが作り出されるという見方です。ですからすべての物事には陰と陽の側面があるというわけです。面白いのは黒い陰の中に白い○(陽)があり、白い陽の中に黒い●(陰)があります。これは陰中の陽、陽中の陰といって、陰でも陽でもそれが全てではない、陰の中にも陽が潜んでいて、陽ばかりと思っていてもそこには必ず陰の要素も含まれるということです。

  どんなに辛く苦しいときでも、その一年24時間苦しみっぱなしということはないと思います。辛い時に食事が美味しいとはあまりまり思えないかもしれませんが、大好物のものを食べると少なくともその時は喜びを感じたり、温泉に浸かってああ気持ちいいと思うかもしれません。ただそう感じても、あたかもそんな良い出来事はなかったことにしてしまうのが苦しいときの特徴です。なにもかも全てがダメ!と思ってしまうのです。これは考え方のクセみたいなもので、そう思いやすい傾向の人とそうでない人がいます。クセとは恐ろしいもので、悪いほうに考えないようにしようといくら頑張ってもついクセが出てしまいます。

 だから悪いように思うのは自分の思考のクセで、捉え方によってはけっして100%悪いということではないことに気づけば、辛い中にも一条の光が見えるのではないでしょうか。

 この変化の4月はなにかと慌ただしいかもしれませんが、自分の考え方のクセに気づき、ちょっとモノの見方を変えて、堂々巡りの考えから抜け出すチャンスかもしれません。

 一方向(自分の考え方のクセ)からだけの見方ではなく、ちょっと横や裏側から眺めてみたり、あるいは好きなあの人ならこんなときどうするだろと視点を変えてみることが大切ではないでしょうか。見方を変えるだけで世界が変わることもあります。