風流人日記

医王整体院 院長のblog

清濁併せ呑む

121223k20d1853_2  毎月一回と決めていたこの連載も74回目にしてついに穴を空けてしまいました。誰に約束したわけでもなく自分自身に課した目標なので、ひと月くらい飛ばしたところでご迷惑をおかけするということでもないのですが、まあなんとなく小さな挫折感を味わいました。

 言い訳をするつもりはありませんが、私にとって今年の最大の出来事は14年間連れ添った愛犬との別れでした。いわゆる「ペットロス」というやつです。話には聞いていましたが、自分が初めてその立場に立った時、その辛さが身に染みました。そこから立ち直るのにかなりの時間を要し、なんとなくじっくり腰を据えて考えることができなくなったというのが最大の理由だと思います。
 もし楽しみにしていただいている方がいらっしゃったら申し訳ありませんでした。
 さて、どんなことにも良い面と悪い面があると言います。同じ出来事でもある人にとっては最悪の事態、また別の人は願ってもない千載一隅の好機と捉えることもあります。私の身の回りでも犬のことも含めて今年はいろんな出来事がありました。その一つひとつにそれぞれ喜びや悲しみの感情を抱いたり、困り果てて右往左往することもありました。でも少し時間が経ち、一年の終わりに振り返ってみると、どの出来事も当時抱いた想いと少し違った感情がわいてくることもあります。落ち着いて考えると、あの時なんでこんな目に遭わなければならないのかと嘆いたことも、なにか意味のあることに思えたりもします。
 時間というのは、このように様々な事象を変容させる作用があるのでしょう。それはいい方向への熟成ということもあるし、へたをすると腐敗という結果になるかもしれません。でもやはりそれは出来事の捉え方次第です。いつまでも否定的な捉え方で抱えているよりも、決して無駄なことではなく、自分にとってのなんらかの意味のあるメッセージだったんだと考えるほうが、また前に向かって歩いていける気がします。
 振り返ると、今年は社会的にも様々なことの転換期に当たる年ではなかったかと思います。それこそ、うれしい知らせも悲しく辛い出来事もありました。そんな中で、やはりニュースになるのは新しい発見です。これまで常識と言われてきたことが覆ったり、不可能と言われていたことが可能になったりしました。山中教授のノーベル賞受賞など医学の進歩は目覚ましいものがありますし、大きなニュースにこそなりませんでしたが、他にも医療の分野では腰痛の原因に対する新しい考え方や、糖尿病では糖質制限食、傷の新しい治療法といった、これまで常識とされていた考え方や治療法がどんどん覆ってきたのは注目すべきことだと思います。
 これらも、これまで「常識」という一面だけで捉えられていたことが、少し違った視点から見ると必ずしも正しいとは限らないということです。何事もそのときそのとき、透き通った純粋な目で見る必要があり、「常識」という先入観なしに物事を見ると、そこからは今まで見えなかった隠された真実が現れるということではないでしょうか。
 私も来年は一つ大人になって(もう誰が見てもアラカンの立派なオッサンですが)、清濁併せ呑むことができるよう度量を広げたいと思います。そして、広い視野を持ち、転んでもただでは起きない、なにかひとつでも別の要素をつかんで起き上がることができるようになりたいと考えています。
 ということで来年もまた飛び飛びになるかもしれませんが、ぼちぼちと書いていきたいと思っています。そして細々とでもなんとか100回まで続けることができたらと思っています。どうかよろしくお願いいたします。