風流人日記

医王整体院 院長のblog

遊戯三昧 〜今を楽しみ尽くす〜

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 東京オリンピックが3年後に迫りましたが、翌2021年には関西でワールドマスターズゲームズが開催されます。概ね30歳以上のスポーツ愛好者であれば誰もが参加できる生涯スポーツの国際総合競技大会ということですから、オリンピックよりは敷居が低く、「見るスポーツ」より「するスポーツ」として世界中からたくさんの方が参加されるようです。
 学生時代にカヌー競技をやっていてオリンピック候補選手にまでなり、いまカヌー連盟の理事をしている友人がいます。先日彼にそのマスターズの準備のなかでの面白い話を聞きました。


 カヌーマラソンという種目があるそうで、距離数は忘れましたがマラソンというからにはけっこう長距離なのでしょう。その種目にエントリーされた高齢の方に配慮して、「距離を少し短くしましょうか?」と提案したところ、「いいえ、距離が短いと競争になってしまいます。私は出場する世界のたくさんの人たちと、ゆっくりカヌーを楽しみたいのです」と答えられたそうです。
 争うのではなく、カヌーをすることでいろんな国の人達と交流できる場そのものを、じっくり時間をかけて楽しみたいというお気持ちなのでしょう。
 苦しいことにも耐えて目標に向かって突き進むことも勝つためには必要なことでしょうが、なによりもそのスポーツが好きで、夢中になることができて、カラダを動かすことが気持ちよく楽しくて仕方ない、というスポーツの原点に立ち返らされた思いでした。

 これは私達の日常生活でもとても大事なことではないでしょうか。
 禅に「因果一如」という言葉があります。
 この世界は原因と結果がある。しかしその関係は大変複雑で、われわれはすべての因果を見ることはできず、「こうすれば必ずこうなる」という単純な図式ではない。だから、頑張れば必ずいい結果を得られるという保証は何もない。結果はいつどこに現れるかわからない。そうであるならば、何かを我慢して結果を待つのではなく、因でもあり果でもある瞬間としての「今」を味わいなさい。我慢して時を過ごすのは時間の殺生だとまで考えるそうです。楽しみ、遊んでいる時間は因果で未来につなげる必要がないから、二度とない今という貴重な瞬間を大切に過ごしているということになります。


 カヌーマラソンに参加されるこの高齢の女性も、速さや勝ち負けにこだわって今を楽しむことを忘れたくない、のんびりと水に浮かび、仲間といっしょに漕いで共に流れる時間を大切にしたい、というお気持ちだったのではないでしょうか。

 これこそが風流な生き方ですね。こんな心の余裕を持って、今を楽しみ尽くしたいものです。