風流人日記

医王整体院 院長のblog

引き算の発想

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 毎年お正月には一年のおおまかな過ごし方を考えます。いいえ、どうせ「食べるか飲むか寝るか」の怠惰なお正月ですから、それほど大マジメに誓いを立てるようなことではなくて、なんとなくぼんやりと、歩む方向や歩き方のようなことを考えるだけです。

 暇にまかせて思ったことの一つは、今年は引き算の発想で行こうというものです。

 だいたい年の初めに考えることというのは、今年こそは○◯をするぞ!といったような、なにか新しいことをプラスすることが多いと思います。でも一年の計は元旦にありと立てた誓いも、仕事が始まり現実の生活に戻った途端に忘れてしまうことがほとんどです(これは賢明な皆さんのことではなく、あくまでも私の場合ですよ)。

 それはきっと、あれもこれもと欲張りすぎるから、かえってなに一つ実現しないのではないでしょうか。「二兎を追うものは一兎をも得ず」というやつです。

 ならば、何かをプラスするよりも、何かを省く、あるいはやめると、少しは身軽になってフットワークが良くなり、本当にしたいことに専念できるんじゃないかと思ったわけです。読んではいませんが、流行りの「断捨離」も、きっとそういうことなのではないかと思います。みんないろんなモノや課題を抱えすぎていて満腹状態。スッキリしたいのです。

 昨年は未曾有の大災害が相次ぎました。閉塞感の漂う時代に追い討ちをかけるように起こった辛い出来事でしたが、私は人々の考えや生き方が大きく変わる転換期が来たのだと理解しています。

 次々と手を替え品を替え出てくる消費材。利便性の追求。それらによって着膨れした生活から、本当に必要なものは何かを考える大きなきっかけになると思います。何を捨て、何を残すか。これがその人の生き方そのものになるんだと思います。ひいては国や世界の今後の方向性に繋がっていくのではないかと考えます。

 選択の余地があることはありがたいことです。世界にはどうやってその日の食料を確保し暮らしていくかということで精一杯の人がたくさんいます。また最低限の暮らしでも幸福感を得ている人たちもいます。

 昨年日本を訪れたワンチェク国王の国ブータンは、狭い国土で一人当たりの国民総所得が約14万8千円(2010年)ということですから、決して近代的とも裕福な国だともいえませんが、人々の幸福度はとても高いといいます。モノが豊富にあり選択肢が多いことが幸せには繋がらないという事実を突きつけられた思いです。国王夫妻のあの爽やかな人柄に負うところも大きいのでしょうが、日本がいつもの平穏な年だったらそれほど脚光を浴びることはなかったことでしょう。あんな悲惨な体験をした年だったからこそ、彼らの生き方が共感を呼んだのではないでしょうか。

 引き算の発想は、カラダに関しても必要な考え方ではないかと思います。健康になるためにこれを食べる、足りなければサプリメントで補うということが常識化していますが、本当にそれでいいのでしょうか?運動不足で太り気味だから痩せるために健康食品を摂る。でも運動量や食事の内容は同じまま。夜更かし暴飲暴食など不健康な生活は変わらない。そんな人が増えているんじゃないでしょうか。

 それよりも、一度自分の食生活をはじめとした生活習慣を見直し、片寄った食べ方をしたり、欲望のままに余分なものまで取り込んでしまっていないかを考えることが大切なのではないかと思います。いくらカラダに良いものでも、あれも食べこれも飲みとどんどんカラダに入れていっても、それを巡らせる仕組みが整っていなければ、それを生かすことができません。 

 モノも情報も氾濫する社会でいかにシンプルに暮らすかは、カラダこそが答えを知っている気がします。まずはカラダに聞いてみましょう。

 みなさんは今年、何をしますか、それとも何をやめますか?