とても残念なことですが、みなさんご存知の「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんが8月15日亡くなられました。
私も子供が小さい頃は一緒に見てはよく笑ったものです。
ファンの一人である明治大学教授の斎藤孝氏も彼女を悼み、「さくらワールドに触れると、笑いとともにムダな力が抜けて、一息入る。この脱力が人生の奥義だ」とコメントしていました。また次のようにも言っています。「小学三年生こそ人生のゴールデンエイジで、話は通じるがムダな動きが多くてすぐ盛り上がる。のんきに暮らしているのに、人生としてトータルに伸びるのが小学生時代で、彼女はその小三感覚を日本中の人に思い出さ、幸福感を与えた」。
このコメントを読んで、私の思考はすぐについこの間テニスの全米オープンで優勝した大坂なおみさんに繋がりました。彼女の天真爛漫さは周りの人を脱力させ、なんだかホッとして幸せな気持ちにさせてくれるように感じるのです。全米オープン優勝という偉業を達成してもなお、気張らない。
アニメと現実社会の違いはありますが、いま無邪気という言葉がもっとも似合う人は、彼女とちびまる子ちゃんだろうと思います。
なにより一緒にいて疲れない人だと思うのです。何か言わなければならない、何かしてあげなければならない、そんな心配は無用で、お互いに気を使うことなく、ただその場に一緒にいるだけで安らかな心になれる。そんな人はなかなかいないけれど、運良く出会うことができるととても幸せな気分になりますよね。
私は彼女が優勝したことは大いに喜びたいのですが、それ以上に、ああいう無邪気さと無駄な力を入れない姿勢こそ、実績のある大選手に対して強みを発揮するのだということを証明してくれたことのほうが嬉しいのです。
もちろん、無邪気だなんて評するのは私の勝手な思い込みかもしれないし、勝った一番の要因は血の滲むような練習の成果だったかもしれません。
「大会にいいコンディションで臨むために、プレッシャーは役に立つ」。彼女は「今回優勝したことで、次の試合へのプレッシャーはありませんか」というインタビューにそう答えていました。
「無邪気」という姿勢には、誰もが重荷に感じる「プレッシャー」さえも、少し奮起するためのいい刺激になるんだと思います。
大きな災害続きで昂ぶる気持ちを、小さなちびまる子ちゃんと、大きな大坂なおみさんの二人の無邪気が、穏やかにしてくれました。