なまけものの怠け論
私は怠けるのが上手というか、特別難しいことだと思わないのですが、世の中には怠けることができない、怠け方がわからない真面目な方が大勢いらっしゃるようです。
そこで今年はなんとかその難問に答えようと、春先から松山巖さんの「ちょっと怠けるヒント」という本を買って読み始めました。
こういう本が出ているということ自体、やはり怠けたいけど怠けられない方が数多くいらっしゃるということでしょう。
これを読めばそういう人たちの気持ちも理解できて、なにかお役に立てるような考えが浮かぶんじゃないかと思ったわけです。
ところが、なにしろ怠け者の私ですから、なかなか読み進まないのですね。
机の上に積んだまま、いわゆる“ツンドク”状態です。怠け者は困ったものです。
それでも、なぜ怠けられないか、ということがうっすらながら分かってきました。
怠けられない人は、いつも先々のことばかり考えているんじゃないか。明日アレがあるから今のうちにあれをやって、これをこうして、、、と。
つまり、身体は「ここ」にあるのに、頭だけはもう先に行ってしまっている。
ならば、明日のことを考えるのを怠けることが、怠けるヒントになるのではないか。それは別の見方をすれば、怠けられない人というのは今を楽しむことを怠けているのではないか、と思ったわけです。
人間やっぱり怠け者なのです。どっかで楽をしたい。
それが人によって「いま楽をする」か「後で楽をする」かという違いがあるのだろうと思います。
でもよく考えてみると、いま楽をしないで、明日楽になることを誰が保証してくれるのでしょう?
後で楽になる方を選択している人は、常に先のことに思いを巡らせ、そのための段取りに忙しいわけです。
そして先のいざという時が巡ってきても、この日ために私は綿密に計画を立て段取りよくやってきたのだから今その成果を喜び楽しむ、ということもせず、もう次の楽のための段取りに忙しいのではないでしょうか?
それではいつまでたっても楽を味わうことができません。
幸せさがして三千里じゃないですが、堂々巡りの人生になってしまいます。
だから、ちょっと方針転換して、明日のことを考えるのは怠けて、いまを楽しむことを怠けないようにすればどうでしょうか。怠けるのがヘタな人は、怠けないことは上手なはずですから、きっとうまくいくと思います。怠ける時を間違えないようにさえすればいいのです。
そうです。幸せの青い鳥はどこか遠くにいるのではなく、目の前の「いま・ここ」にあるのです。
「いま・ここ」で幸せを感じること、楽を味わうことが、怠けるためのヒントではないでしょうか。
もうひとつ付け加えるなら、怠けることを許さない世間の目など気にせず、自分の人生なのですから、自分なりの「いい加減」を身につけることではないかと思います。
怠け者の私が今年一年かかってわかったことはこの程度のことですが、怠け者にしては意外にいいアイデアではないでしょうか、、、。
年の暮れの忙しい時になにをバカなこと考えているのか、と叱らないでくださいね。べつに大掃除などやるべきことを怠けろと言っているわけではないのです。やるべきことをやる以外に、やらなくてもいいこと(必要以上の心配など)までしていませんか?そこを手抜きしましょうということなのです。
それではどうぞ良いお年を!