脳細胞は生まれ変わる

　近年、脳の研究成果は著しい。２０世紀後半までは、脳の神経細胞は一度死滅すると再生されることはなく、おぎゃ〜と生まれた後は減るいっぽうだと考えられてきた。私などはそれをいいことに、どうせ何をやってもどんどん脳は衰えるのだからと、一生懸命勉強することをさぼっていた。
　ところが、最近の研究によると、脳は生きているかぎり新しい細胞を作り出すことがわかってきた。そして、神経細胞の新生は学習と記憶に密接に関わるというではないか。
　あきらめて悠長にかまえている場合ではなかった！

　「ストレスに負けない脳」早川書房によると、
　刺激の多い環境に置かれると、脳神経の新たなネットワークができることはよくいわれてきたが、それだけではなく新しい神経細胞がつくられることもわかってきたのだ。
　それは“好ましい生活習慣”を送ることで可能だという。ただ歩くだけという簡単な運動、低脂肪の食事、孤立を避け家族や友人と交わることでその能力は発揮されるらしい。
　逆にストレスがかかると神経細胞の形成が抑えられる。
　やさしい言葉や安心させたり勇気づける言葉、希望をもたらすメッセージは身体に良い影響を与えるが、恐怖や痛みのほうがそれに勝って影響が大きい。それは、危険にさらされながら進化してきた動物たちのなかでは、肯定的な感情がどうしても二の次にされてきたからだ。
　しかし、肯定的な思考や好ましい行動をくり返すことによって、脳の神経ネットワークの機能だけでなく構造をも変えうることが明らかになったことは朗報だ。
　あきらめてはいけない。まだ間に合うぞ！