風流人日記

医王整体院 院長のblog

イメージの力

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 「私は腰痛を必ず治す」という言葉は積極的で前向きに聞こえます。それでは「私は腰痛にはなりたくない」はどうでしょう。これはちょっと後ろ向きですね。

 では「私は腰痛を必ず治す」という強い意思と前向きな姿勢で腰痛は治るでしょうか?

 ガンの専門医はガンになりやすい、糖尿病専門のお医者さんは糖尿病になりやすい、という話を聞きました。これはその病と闘うという積極的な姿勢とは裏腹に、常にその病気と向き合っていると、その頭でイメージしたものがとても大きな力を持つということです。つまり、イメージが前向きであろうが後ろ向きであろうが、どう思おうと、イメージそのものは「なくならない」ということです。そして、そのイメージが少なからずカラダに影響を与えるということになります。

 ですからたとえば慢性痛でお悩みの方は、その痛みから離れられるようにするには、できるだけそれとは別のイメージを持つことが大切です。

 楽しいことやワクワクするようなことを思い浮かべることです。人間ワクワクしているときは他のことなどなにもかも忘れてしまい、無我夢中の状態です。

 必ず治してみせるという強い気持ちも大事ですが、その気持ちが強ければ強いほど痛みに囚われているということです。痛みを忘れることは簡単ではありませんが、痛みを抱えながらも自分が本当にしたいことを少しずつでも行動に移すことで、痛みの悪循環から少しずつ脱出することができます。たとえ苦痛を抱えた病気という状況でも、喜びを見いだすことや、できることはあるはずです。

 多くの著名人を鍼灸治療なさっている竹村文近さんも、患者さんから様々な症状を受けてしまうことがあったそうです。そんなときはチベットアンデスの高地を歩き、自分の身体の機能と感覚を甦らせていたと言います。

 「治りにくい」「病気になったら嫌がられる」などというイメージが不安や恐怖を呼び起こして、治癒力を低下させることは珍しいことではありません。

 特に痛みのために立ち上がれないほどの腰痛を経験すると、もう歩けなくなるのではないかとか、車いす生活になり人の世話になることになったらどうしよういった不安に襲われますが、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアが将来歩行困難につながることは、まずありません。心配ご無用です。その心配や恐怖心がかえって治癒を遅らせることの害の方が大きいのです。

 そんなときは、過去に苦しいことから立ち直った体験が役に立ちます。振り返ってみると、ほとんどの人がこれまで何度も痛い目に遭ってはそのたび乗り越えてきました。元気になるとそんなこと、まるでなかったかのように忘れてしまいますが、適切な治療と同時にちゃんと自己治癒力を発揮して治ったのです。そのことを思い出し、体の潜在力に思いを巡らすことが、プラスのイメージ力を利用することなのです。

 毎日しているいつもと同じことが、或る時ずいぶん違って感じることがあります。状況によって感じ方が違うということはよくある話ですが、たとえ状況が変わらなくても、気持ちの持ち方次第でいつもとは違う感じ方をすることもあります。

 ことほど左様に、人間はいつでもどこでも、様々な状況を脳の中で作り出すことができるのです。イメージの力は、良くも悪くも大きな力を持つようです。

 どうせなら、病気のことばかり考えて病気に詳しくなるより、元気になるイメージを膨らませませんか?