風流人日記

医王整体院 院長のblog

年末、記憶の大掃除と言葉の整理

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 今年も残すところ数日となりました。時間は誰にも平等に一日24時間、そしてそれが365日与えられています。それでも楽しい時間は早く過ぎ、辛く苦しいときは永遠に続くような気がします。みなさんのこの一年は早く過ぎたでしょうか、それとも長かったでしょうか?

 私はお蔭さまでこの一年、大過なく過ごすことができたと感じています。それでも詳細に振り返ってみると、苦しかったこと、驚いたこと、悲しみで涙があふれたこと、大失敗をしてしまったなど、さまざまな出来事がありました。

 それぞれの出来事によって、ふと立ち止まり、多くのことを考えさせられました。その都度、喜怒哀楽の感情をなんらかの形で表現しますが、それっきりで終わりにすることができないこともあります。

 最終的にはその想いを自分の中に収まりやすい形に変え、いつもすぐに引き出せる場所に置いたり、深い心の奥にしまったりします。収める形が悪かったり置き場を間違えると、その記憶も居心地が悪いのでしょうか、常になんらかの形でアピールしてきます。いわゆる「引きずる」というやつで、なにかそのことが引っかかって気持ちの悪いものです。カラダにも影響が出ることもあります。

 それはそれ、もう過去のことだときれいさっぱり忘れてしまうことができればいいのですが、それでもそんなに簡単にいかないこともたくさんあります。

 どうしても処理しきれないときは、私はその時点では白黒はっきりさせず、「保留」というかたちでちょっとお預けにします。そうすると、日々の忙しさで忘れていたり、突然そのことが浮上してきたりすることもあります。しかしその都度まあいいか、しょうがないと思っていると、次第に角が取れ、丸みを帯びて柔らかな形に変わっていくのを感じます。

 おそらく長いこと生きているとあまりにも思い出が多くなってしまって、軽く小さく収めていかないと収納できなくなってしまうのでしょう。記憶というものは常に形を変化させるものだと思います。

 今年一年のさまざまな出来事の中で、それに当たる、簡単に処理できなかった出来事を挙げてみます。

 このところなにかが足りない日々だと思ったら、半沢直樹が終わったり、天野祐吉さんが亡くなられて新聞のコラムが読めなくなったり、毎週楽しみにしていたことが次々となくなってしまったのです。やはり何かが終わったり失ったりすることはショックが大きいものです。コラムニストの天野祐吉さんは「CM天気図」の中でいろんなことを教えてくれました。

 著名人だけでなく身近な大切な人との別れもありましました。亡くなられたら、もうその人の口から新しい言葉は聞けないかもしれません。でも、生前語られた貴重な言葉やその生き方は、これからもずっと私の心の中で生き続けると思います。

 大切な人を亡くしたり別れることはなにも辛い思い出ばかりではないのです。その人の勇気を与え立ち直らせてくれる力強く温かい言葉が、自分の中のネガティブな感情を打ち消す希望へのエネルギーとして、いつもでも命の炎を点し続けてくれます。聖火リレーじゃないですが、そうして命の炎は人から人へ、世代を超えて引き継がれていくのだと思います。

そのほかにも、亡くなられた漫画家やなせたかしさんの言葉が強く心に残りました。「一寸先は光」。この希望に満ちた言葉を胸に、来年も苦楽さまざまな出来後の中に、たとえ微かであっても明るい暖かい光を見つけていきたいと思っています。

 皆様も大掃除の中から自分にしっくりくるいい言葉を見つけて、どうぞ佳いお年をお迎えください。

 今年一年、ありがとうございました。