風流人日記

医王整体院 院長のblog

川柳のチカラ

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 川柳に明け川柳に暮れる一年でした。なんて言うと、一角の川柳作家のように聞こえてしまいますが、もちろんそんなことはありません。毎週土曜日の早朝ラジオで放送される「川柳で生き方再発見/近藤流健康川柳道場 しあわせの五・七・五」を一年通して欠かさず聴いたというだけの話です。いやしかし聞くだけでも健康になれるという大変ありがたいこの番組は、今や私にとってなくてはならない存在となっているのです。
 どこにそんな早起きして聞くほどの値打ちがあるのかというと、やはり川柳のユーモア精神だと思うのです。いつの時代も生きていれば喜びだけでなく悲しみや苦しみもあるのが当然の人生ですが、どうも今の世の中はネガティブな出来事や感情を笑い飛ばしてしまうほどの余裕がない、とても息苦しい社会だと感じている人が多いのではないでしょうか。
 川柳は俳句のような堅苦しさがありません。この番組の師範、全日本川柳協会顧問の近藤勝重さんによると、俳句は「人生と季節」川柳は「人間と生活」を詠むのだそうです。これだけでも川柳がいかに日常生活に近いところにあるかということがわかります。そしてその日常の隙間からこぼれ落ちる可笑しみを拾うのが川柳ということですから、面白くないはずがありません。
 毎週番組のリスナーから送られてくる優秀な作品を聴くと、使い方一つで幸せな気分にもなれるし、反対に他人も自分も傷つけ不幸にしてしまうこともある「言葉の重要性」を今更ながら考えさせられます。
 近藤師範はこんなこともおっしゃっていました。近藤さんは長いこと早稲田大学で文章論を教えておられるそうですが、この10年ほどで学生たちの表現力は恐ろしいまでに劣化したと。その原因のひとつはメールやラインといった便利で簡単なコミュニケーションツールで、考える前に文字を送ってしまっているというのです。人に伝わる言葉を生むには、心で感じることと頭で考えることの双方を行き来する必要がある。心で感じたそれだけをメールしてしまう癖がつくと、考えを深める時間が持てなくなるとおっしゃいます。
 わからないことがあると、誰にどんなふうに尋ねるのがいいかなどと考えることもなく、すぐにネットで検索するGoogle依存も同じですね。苦労せず得た知識は右から左に通り抜けてしまいます。
 時間をかけて醸成された言葉の重みは、川柳のように感じたこと気づいたことを一つのルールのもと、五感と頭を使って作り上げる創造的な行為から生まれるものなのでしょう。
 一句ひねると言いますが、その「ひねる」というのは、あれこれ工夫して考えるということだそうです。それは感覚をつかさどる右脳と、論理をつかさどる左脳を行ったり来たりすることなんだそうです。その左右の脳の連動が、まさに脳トレになり、ボケ防止になると脳科学者も言っています。
 また川柳の滑稽さは笑いを誘います。この笑いが免疫力を高めて健康をもたらす効果は、近年医学的にも実証されています。


 どうすれば心身ともに健康でいられるか幸せに生きられるかを川柳を通じて追及するこの番組を聴きながら、来年も笑って健康でいたいと思っています。
 年の初めの「今年こそ一句詠むぞ」という目標は儚い夢と終わりましたが、毎週う~んと唸ったり笑わずにいられない秀作を聴いているだけで幸せな気持ちにさせてもらった一年でした。
 

 番組では毎週優秀作品を選んでいますが、この一年で私自身が深く納得し、笑った特選句を最後にご紹介します。

MBS「しあわせの五・七・五」ホームページより拝借しました)


 ✎鏡より 同い年見て老いを知る
 ✎孫の来る前日多めにストレッチ
 ✎健康じゃないとできない健康法
 ✎また一つ持病が増えて仲間増え
 ✎年忘れ夫も忘れ忘年会
 ✎悩んでも悩まなくても朝はくる