ストレスに強い人

　私はストレスはありません、あまり感じません、という人がいる。
　そういう人にかぎって、身体を触るとストレスの塊？と思ってしまうことが多い。
　別にうそを言ったり、隠しているわけではないと思う。
　恐らく自分で意識しないうちに怒りや不安、恐怖といった不快な感情を抑圧しているのだろう。
　無意識の領域に押さえ込まれてしまった感情は、感じなくて済む。つまりいやな思いをしなくて済む。しかしコントロールが利かなくなってしまう。
　そして、無意識の領域に積もり積もったコントロールの利かない感情を、捌け口としての身体のどこかに出しているのだろう。
　
　ストレスを感じないという人は抑圧の名人なのだろうか。
　しかしこれは、ストレスのコントロールが上手ということとは違う。結局、身体に痛みや不快感を出しているのだから。
　ほんとに上手なやり方は、溜めないで少しずつ吐き出してしまうことだろう。言うが易し、行うは難しではあるが・・・。
　抑圧の名人は、得てして強がりである。ストレスを溜めるなんていうことは、弱い人のすることだと思っている。強い自分はストレスなんかないし、そんなことを認めたくもない。
　ここが盲点なのだ。
　社会で暮らす限りストレスがないことなどあり得ないのに、自分は強いと思っているから、そういうものは闇に葬る。ないものだと誤解してしまう。それが知らず知らずのうちに、無意識の器に溜まり、溢れ出した時には身体がストレス浸しになる。
　ほんとに強い人というのは、ストレスに正面から向き合うことができる人だろう。
　そしてそれを認め、弱音のひとつも吐くことが、ストレスを溜めない秘訣なのかもしれない。