風流人日記

医王整体院 院長のblog

幸せってなんだっけ?

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 年が明けてからは見なくなりましたが、去年の暮れは「♪幸せってなんだっけ、なんだっけ」とテレビから聞こえてくるCMソングが耳について仕方ありませんでした。このCM、かなり前にも流れていたから聞き覚えがあります。その答えが出たから終了したというわけではないでしょうが、知らないうちに終わっていました。

 そして年月を経て、今また「♪幸せってなんだっけ、なんだっけ」です。新しいCMネタがなかったんじゃなくて、おそらくそんなことを問い直したくなる昨今なのかもしれませんね。

 新しい年の初めに「幸せ」について考えてみたいと思います。

 精神科医香山リカさんが「しがみつかない生き方」(幻冬舎)のなかで云うように、いったいいつから”ふつうの幸せ”がこれほど手に入りにくくなったのだろうか、と私も思います。でもここでよく考えなくてはならないのは、幸せがほんとうに”手に入りにくく”なったのか、あるいは幸せを”感じにくく”なったのか、ということだと思うのです。そのいずれか、または両方かもしれません。

 幸せに今も昔もないとは思いますが、物質的には間違いなく昔より今の方が恵まれています。しかもなんでも便利に簡単に手に入る。苦労して手に入れる方が喜びが大きいですから、この便利さがかえって喜びを半減させているのかもしれません。

 でも幸せはモノの充足だけではないことは、今の世の中をみていても明らかです。問題は、日々のありふれた生活の中でちょっとしたことを幸せと”感じられるかどうか”ということじゃないでしょうか。どうも目の前の小さな幸せを見ずに、先の大きな幸せばかりを探しているような気がするのです。

 この世の中、辛いことが多いのは確かです。でもそれは今も昔も変わりない。昔は幸せがたくさんあったが、今は辛いことばかり多くて幸せは少ないということはないはずです。ただ昔はいろんな意味でちょっとしたことに幸せを感じやすい環境であったということは云えると思います。

 それとは逆に、今という時代は、誰もが「いつもハッピーでなければならない」「もっとビッグな幸せを」と考えすぎるために、目の前のありふれたちょっとした幸せを見過ごしているのではないでしょうか。つまり「欲張った幸せ」を求めすぎていると思うのです。

 隅々まで情報が行き渡り、人の成功やセレブのリッチな生活などがいやでも目につく。自分の現状と比べて、私もああなりたい、あんなふうにならなければならない、と自分を追い込んでいく。メディアもそんな気持ちをあおるように、「こうすればあなたも成功する」「幸せをつかむための方法」などと、いろんなかたちで刺激する。

 はたして、幸せになるためのマニュアルなどあるのでしょうか?そんなものがないと幸せをつかめないのでしょうか?それはきっと「これが幸せ」という決めつけではないでしょうか。

 なにが幸せかはひとりひとり皆ちがう。私の幸せとあなたの幸せは違って当たり前だし、同じ必要もない。誰が見てもうらやむようなかっこよさだけが幸せではない。成功することだけが幸せではない。格好がいいとか悪いとかは他人が勝手に評価することであって、他人が思うかっこ悪さのなかにもその人の幸せはあるかもしれない。人との比較からは幸せは生まれない。

 そんなふうに思うのです。

 小さな幸せを感じられなくて、大きな幸せなどないと思います。

 大きい夢を持つことはいいことでしょうが、目の前にあふれている小さな幸せに目を向けることが先ではないでしょうか。

 いつも今の私、現状を否定して、いまの幸せを感じられなかったら、この先いつ幸せを感じるというのでしょう。

 計画通り一筋縄では行かない現実の中のちょっとした幸せというのは、偶然の中に見つけたふとした喜びだったり、人からかけられた何気ないひと言や笑顔だったり、人と人とのあいだ(出会い)から生まれるものだと思います。

 目の前に現れるシンプルなちいさな幸せを感じていたい、と私は思います。

 やっぱりCMで歌っているとおり、身近なところで、旨い醤油のある家庭が幸せなのかもしれませんね。

 と、今回はほぼこれでまとめようと考えていたある日、電車に乗るとある女性向け雑誌の車内吊り広告が目に留まりました。

ーーー”幸せ”だけでは満足できない! ・・・やっと手に入れた自由を武器にもっと欲張るーーー

 はい、もうなにも申しません。どうぞご自由に。(笑)