風流人日記

医王整体院 院長のblog

カラダとの対話

Lckpgt3u 「せんせ〜、すごく力がいりますよねえ。疲れませんか?」
よく患者さんに訊かれます。
かなり重度の肉体労働にみえるのかもしれない。
もちろん私のからだを気遣ってのやさしい労いのお言葉だと、うれしく受け取りますが、実は思っておられるほどの力は使っていないんです。
せっかく心配してもらっているのに、拍子抜けで申し訳ありません。
そりゃあ、遊んでいるわけではありませんから、それなりの疲れはありますが、翌日に疲れを残したり、筋肉痛でからだを動かすと痛いなんてことはありません。(今のところ)

人間のからだは、外から大きな強い力が加わると、反射的に固くなります。
いつも力んでからだのどこかを固くしている人は、特にその傾向が強いようです。
肩こりのひどい方はそんなからだのクセが強いのだと思います。
そんな人のからだに必要以上の強い刺激を与えると、固くなった筋肉が抵抗してますます固くなるのです。
ですから、まずはやさしいタッチで刺激します。
そうすると、次第に緊張が緩んでいきます。
固い氷が溶けていく感じです。
そのとき、施術を受けるほうも心地良い響きが得られるのです。

人と人との言葉でのコミュニケーションにも同じことが言えるのではないでしょうか。
どんなに自分の考えが正しいと思っていても、それが相手に受け入れられるかどうかは、また別の問題です。
力ずくで無理やり自分の主張を押し付けても、固く聞く耳を閉ざした相手には拒否されるだけです。
空回りに終わることもあれば、猛烈な反発となって返ってくることもあります。
相手がどんなことを考えているかなど、いきなり分かるわけはありません。
呼吸を合わせ、相手の話をよく聴いて、反応を見ながらやりとりするうちに、次第に心が通うようになりますね。

整体の施術も同じです。
いきなり豪速球を投げ込むのではなく、からだの言い分を耳を澄まして聴くようにスローボールから入ります。
打ち気満々のバッター相手に探りを入れるように。
そうすると、なんらかの返事が返ってきます。
その答えに今度は自分のメッセージを乗せて、また送り返します。

ボディーコミュニケーションである整体は、そんなやわらかいキャッチボールのようなものです。
だから強い力は必要ないのです。それは逆効果になることのほうが多いのです。
肩を怒らせ、からだをガチガチに強ばらせてお越しになった患者さんが、からだと共に、顔の表情まで緩めて帰っていかれる姿を見ると、つくずくそう思います。