風流人日記

医王整体院 院長のblog

痛みを聴く

Wb3ghb6g お正月のスローな時間の流れも忘れ、気がつけばもう20日。きょうは大寒です。
寒さの絶頂期ということですが、これが過ぎると春も近いということでしょう。

この頃患者さんと面談していて強く感じることがあります。
私の治療室にはさまざまな身体の痛みや悩みを抱えた方がお越しになりますが、自分の痛みを他人にうまく伝えられない、伝えたとしてもなかなか認めてもらえない、そしてその「伝えられない、認められない」こと自体がストレスになっていらっしゃるケースが多いことです。
それは痛みを伝えることの難しさもありますが、しっかり受け止めてくれる人が少ないということでもあるのでしょう。これは我々治療者の側も、おおいに反省しなければならない問題です。

他人の痛みは分かりにくいものです。話す本人ですら痛みの状況を上手に伝えるのは難しいのですから、なおさらです。たとえ話を聞いて頭で理解したとしても、それを自分の痛みとして感じることは経験者であっても難しいことだと思います。
どんな大病院に行っても、痛みを「計測する」ことは不可能です。痛みはあくまでも本人の「体験」なのです。ですから、痛みを持つ人とじっくり話し合わなければ伝わりません。それも痛みを感じ始めたきっかけから日常生活の様子、本人の置かれている環境、その時から今までの心情も含めての物語を詳細に。
そして治療する側は、それをすべて受け入れて、解釈しなければなりません。検査の結果を見ているだけでは痛みの程度や本人の心理状態はわかりません。
誰も自分のこころの中を覗かれるのはあまり気持ちのいいものではありません。しかし、治癒に難渋する痛みや長期化する痛みを抱えている場合は、心の扉を開くことで快方へ向かうことがよくあります。治癒が長引く場合には、自分でもわからないような複雑な心理状態に陥っているのことが多いのです。

もちろん、そんな厄介なことをしなくてもすっと取れる痛みもありますが、最近は複雑怪奇な、なかなか治まらない痛みが多くなっているのも確かです。
治療者の側がもっともっと痛みの訴えを上手に聴いたり受け入れたりする技術とこころを身につけなければならないと、つくづく思う今日この頃です。